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里山

執筆者の写真: Nobuhiro KawaiNobuhiro Kawai


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山の仕事が終わった。

約二ヶ月間、毎日通った道。

一度も除雪をしなかったのは、この仕事を始めてから二十数年初めてではないだろうか。

2週間の間ヨーロッパを訪れていた間も一番気をもんだのが雪の状況だった。

一般道から現場までの道のりは意外と長い。

だから、一度大雪が降ると一日がかりで除雪をしなくてはならない。

まあ、今年はついていたのか、帰ってきても天気が保ってくれたので仕事をスムーズに終えることができた。


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毎年、山に入って木を切っていると、夏は庭をつくって環境にいいことをしているのに、冬になると環境を破壊していると時々言われることがある。

しかし、そうではないことはこの仕事をしているとよくわかる。

ここ最近、’里山’という言葉を耳にすることがある。(自分だけか(笑))

この里山というものは、山の恵みを活かした暮らしと言い換えることができる。

自分たちの仕事もこの里山の暮らしの一部なのだとここ最近思うようになってきた。


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周りをカラマツに囲まれた森は、皆伐してしまうと切り株だけになってしまう。

この切り株はここの山だと30年から40年の樹齢だった。

自分の仕事は第一にしいたけのほだ木を採るというのが目的。

第二に炭や薪の原料として、切り出す。

この30年から40年というのは、第一の目的からするとちょっと歳をとりすぎている。

ほだ木にするなら20年から25年くらいがベストな歳なのだ。

ここの山では、ほだ木よりも炭や薪用の木が多く出たというのも樹齢が適期を過ぎていたのが原因であった。


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一般の人にとっては、この山を見るとただ環境を破壊しているように見えるんだな。

山は、伐採したら植林しなくてはいけない。

そう思っているんだと思う。

だけど、一度人の手を加えた山は、その後ずうと人が管理しなくてはいけない山になってしまう。


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カラマツが植林された山は今後人が管理し続ける。

この山はもともとは、広葉樹の森だったのだろうな。

所々にミズナラの若木を見ることができる。


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切った株からは次の歳になると、複数の木が成長しはじめる。

このことを萌芽更新という。

なので、ミズナラを切った後そのまま放っておくとやがて立派な森に返ることになる。

これが里山の原理。

ただ、この山のようにカラマツなどを植林してしまうと成長の早いものに負けてしまうのでミズナラはやがて消えてなくなってしまう。

カラマツだと建築材になるまで40年から50年はかかる。

ミズナラはほだ木を採るなら20年そこそこでいい。

ここ最近、いいナラ山が少なくなってきているのにはこのようなことが主因として上げられる。


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何が言いたいかって、決して環境を破壊してはいないということをわかってもらいたい。

良い循環で自然と付き合えれば豊かに暮らせると思うんだけどね。

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